スモークBBQのおいしさについて その2 スモークリング
スモークBBQの見た目の特徴はスモークリングとバークです。スライスした断面に出来た口紅のようなスモークリングと、樹皮のように黒黒と成長した表面のバークは、我々スモークBBQ愛好家には、出来栄えの指標として味と同じくらい大事なものです。今回はスモークリングについて紹介します。
バークはこちらの記事参照。
スモークリングって何?
スモークリングは肉をスライスした時に、肉の表面から深さ10mm程度までに見らるピンク色のリングです。タンパク質が変色したもので、ピンク色ですが血の色ではありません。スモークリングを生焼けのお肉と勘違いする人がいますが、肉温度は200°F(93℃)以上と、いわゆるウェルダンより高い温度に上がってますのでご心配なく笑
どのようにして出来るの?
スモークリングは、筋肉中のミオグロビンというタンパク質と一酸化窒素(NO)と一酸化炭素(CO)の化学反応で形成されます。NOとCOはBBQ中の薪や木炭が燃焼してるときに発生するので、ウッドチップチップやスモークウッドで発生する白い煙は関係ありません。私も以前、立派なスモークリングを作ろうと大量のウッドチャンクを投入してモクモクと白い煙を出したことがありましたが、無駄な努力でした笑
ミオグロビンの色は加熱されると変化し続け、牛肉の場合はスモークリングの形成は約170°Fで終了します。肉に溶け込んだNOやCOは肉の色をピンク色に留め、NOとCOが溶け込んでいない肉は温度上昇とともに変色して褐色になります。NOとCOは肉の深部まで拡散することはできませんので、肉の表面だけに口紅のようなピンク色のスモークリングが形成されます。
立派なスモークリングを作る方法
■肉を湿らせましょう
スモークリングの形成が止まる温度は、肉の温度が約170°Fに達するときなので、表面にスプレーやモップをすると、肉を冷やしてスモークリングを成長させます。また肉の表面の水分によって、NOの凝縮が促進され、スモークリングの形成を助けます。スモーカーにウォーターパンを置くことも、肉を湿らせることになるので有効です。
■Low&Slowで調理しましょう
スモークリング形成には肉の温度170°Fに到達するまでが勝負です。なので肉を低温の状態から調理開始したり、スモーカー温度を低温で調理すると、NOとCOに晒される時間が長くなるので、スモークリング形成には有効です。この理由から、肉を常温に戻さず冷蔵庫からすぐにスモーカーに入れるトリックを使う人もいます。
■脂肪をトリミングしましょう
脂肪の下にはスモークリングが出来にくいです。脂肪にもNOとCOは浸透しますが、脂肪にはミオグロビンが含まれないので、ピンク色にはなりません。脂肪の下までガスが浸透すればスモークリングが脂肪の下に形成されまが、脂肪層が厚い場合、スモークリングは形成されません。スモークリングを作るには予め脂肪を可能な限りトリミングするのが大事です。
■煙は関係ありません
スモークリングはNOとCOとミオグロビンの反応ですので、ウッドチップやウッドチャンク、スモークウッドの白い煙はスモークリングには効果がありません。
白い煙はスモークリングと無関係です
どんな味がするの?
実は、スモークリングは味には関係ありません笑。見た目の美しさを楽しみましょう。現にBBQコンテストではスモークリングは審査対象としない場合があるようです。ちなみに下の写真はスモークリングの無いブリスケットと、スモークリングが立派なブリスケットの比較写真ですが、明らかにスモークリングがある方が美味しそうです笑
どこで食べられるの?
立派なスモークリングを見たかったら、スモークリングにこだわりのあるお店で食べましょう笑。Octagon Brewingはオーナーの平野氏のこだわりで立派なスモークリングが楽しめますので、機会があれば是非。
Octagon Brewingのブリスケットとスモークリング